テクニカル ノート

遮熱塗料のメカニズムと効果

地球温暖化現象の原因の一つと言われる都市部の「ヒートアイランド現象」が新聞などで報じられ、関心が高まっています。その対策の一つとして、「建物外表面の高反射効率化」による熱エネルギーのコントロールを目的とした遮熱塗料が関心を集めています。

■ 遮熱塗料とは?

一般的な塗料は太陽光のエネルギーを吸収して発熱します。それに対して遮熱塗料は太陽熱高反射塗料とも言われ、太陽光エネルギーを有効に反射して屋根や外壁の温度上昇を抑制し、更には室内の温度上昇緩和やヒートアイランド対策など、環境改善を目的とした機能性塗料です。

■ 遮熱のメカニズム

太陽光エネルギー

太陽光はその波長により区分され、塗膜劣化や人間の皮膚に影響を与える「紫外線領域」、人間の目に見えている「可視光線領域」、遮熱性に深く関係していると言われる「赤外線領域」の3つに分かれます。

  • 紫外線
    太陽光エネルギーの約3%を占める有害な波長で、物質を劣化させたり、日焼けなどの原因となります。
  • 可視光線
    太陽光エネルギーの約47%を占める波長で、色として認識できる波長領域です。
  • 赤外線
    太陽光エネルギーの約50%を占める波長で、最も熱エネルギーに変わりやすい波長領域です。吸収されたエネルギーは分子運動を活発にし、熱へと変化します。

可視光線の反射・吸収はその物質(塗料)の色により一義的に定まります。従って塗料に遮熱機能を付与するには、太陽光エネルギーのうち50%を占める赤外線領域の反射を制御する必要があります。
遮熱塗料とは、赤外線領域の光を反射させる遮熱効果を考慮し、熱エネルギーの影響を低減させた塗膜です。

日射反射率

日射反射率とは、波長300〜2100nmにおける太陽光エネルギーのうち、反射される光エネルギーの割合です。遮熱効果は、この日射反射率の大きさにより表すことができます。
日射反射率は各塗料の分光反射率より求めることができます。一例として下図にグレー色(明度7.5)の一般屋根用塗料と遮熱塗料の分光反射率スペクトルと、その時の日射反射率を示します。

遮熱塗料は一般屋根用塗料と比較して、赤外線領域である780〜2100nmで非常に高い反射率があることを示しています。この赤外線反射率の差が、赤外線吸収量の差、即ち太陽光エネルギーの吸収差となります。

上記の例では、一般屋根用塗料が日射反射率30%程度であるのに対し、遮熱塗料の日射反射率は約70%になります。この日射反射率の向上により、屋根の表面温度上昇の抑制が可能となります。

■ 遮熱塗料の効果

遮熱塗料の代表的な効果としては、下記が挙げられます。いずれも屋根や外壁表面の温度上昇を抑制することにより、もたらされる効果です。

  • 冷房負荷熱量の削減(省エネルギー)
  • ヒートアイランド対策(環境改善)
  • 屋根材の熱劣化抑制(コスト低減)

■ 遮熱塗料の注意事項

遮熱と断熱

遮熱と断熱は似たような効果があることから混同されがちですが、原理としては異なるものです。

  • 遮熱(遮熱塗料、太陽熱高反射率塗料)
    エネルギーを反射することにより、エネルギー吸収量自体を低減して表面の温度上昇を抑制する。
  • 断熱(断熱塗料、熱遮断塗料)
    熱伝導率の小さい素材を用いることにより、表面で吸収したエネルギーを内部に伝わりにくくする。

このため断熱では、保温性向上や結露防止といった遮熱にはない効果を得ることができます。しかし、ヒートアイランンド対策や熱劣化抑制などの効果を得ることはできません。

色相と表面温度

塗膜は、濃彩であるほど可視光線領域のエネルギーを吸収します。つまり、塗膜の表面温度は淡彩色であるほど低く、濃彩色であるほど高くなります。これは遮熱塗料においても同様で、同じ遮熱塗料でも淡彩色の方が表面温度は低くなる傾向にあります。遮熱塗料の濃彩色の表面温度は、一般塗料の淡彩色のものと大きな差がない場合もあります。

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